雇用契約の定めに従って国外給与を日本円で支払うために作成された所得明細に基づいて日本円で送金された給与につき、原処分庁は、外国法人が請求人に交付した税額計算書には、請求人の給与が外国通貨で記載されており、本件国外給与が請求人の口座に日本円で入金されていることから、いわゆる外貨建て円払い取引に該当するとして、本件国外給与に係る給与所得の収入金額は、所得税基本通達57の3-2《外貨建取引の円換算》注5の定めに基づき、外貨建取引に準じた方法で本件計算書の総支給額を円換算する必要がある旨主張する。
国税不服審判所は、本件計算書は、外国法人が請求人から源泉徴収した税金を外国の国税当局に納付する際に使用する書類であって、外国法人は、請求人との雇用契約の定めに従い、請求人に本件国外給与を日本円で支払うため、日本円で算定した所得明細を請求人の給与明細として作成し、本件所得明細に基づき、本件国外給与を請求人の口座に日本円で送金している。よって本件国外給与の支給は外貨建て円払い取引には該当せず、本件国外給与の各月の収入金額は、日本円で算定された本件所得明細に記載の総支給額であることから、本件給与所得の収入金額を算定するに当たり、円換算する必要はないと説示した。
■参考:国税不服審判所|外国法人から支払われる国外給与が外貨建て円払い取引に該当せず、円換算を要しないと判断した事例(令和6年7月3日裁決)|
https://www.kfs.go.jp/service/MP/02/0303040000.html#a89