金融庁はこのほど、金融機関に対し「安定的な資産形成に向けた顧客対応」に関する要請を発出した。世界的な市場変動や経済情勢の影響により個人投資家の不安が高まる中、長期・積立・分散による資産形成を支援し、投資継続のための安心な環境を整備することを目的としている。
要請は大きく三点となり、第一は「丁寧な顧客対応の徹底」。市場が不安定な局面においても、顧客が冷静な判断を行えるよう、投資の基本的な意義をわかりやすく伝えるとともに、適時適切な情報提供を行うことが求められている。情報発信においては、多様な手段を用い、相談窓口の明示も徹底すべきとされている。
第二に、「相談対応体制の整備」が挙げられる。経営陣の的確な指示の下、顧客の年齢、財産状況、投資目的、リスク許容度などに応じた個別対応を可能とする体制の整備が必要とした。
第三に、「NISA口座の利用実態把握」が重要視されている。投資経験の浅い層の利用が見込まれるNISAについては、取引状況のモニタリングを継続的に行い、管理体制を構築することが必要として、当該実態に関する金融庁への協力も要請されている。本要請は、顧客本位の業務運営を徹底させるものであり、その趣旨の周知と現場での実践が求められている。
■参考:金融庁|安定的な資産形成に向けた顧客対応について(要請)|
https://www.fsa.go.jp/news/r6/sonota/20250414/01.pdf