地域型保育給付費の支給請求権 契約等に基づく金銭債権

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本件は、保育事業者が市町村に対して有する「地域型保育給付費」の支給請求権が、子ども・子育て支援法17条にいう「子どものための教育・保育給付を受ける権利」に該当するか否か、したがって差押禁止債権に当たるかが争点となった事案である。

保育事業者は、子ども・子育て支援法に基づき、市町村から地域型保育給付費の支給を受けていたが、債権者がこの支給請求権に対して債権差押命令を申し立てた。一方保育事業者側は、この給付費は同法17条に基づき子どものために支給されるものであり、差押えは許されないと主張。原審の東京高裁もこの主張を認め、差押命令を取り消した。

これに対して最高裁判所は、当該債権は事業者(保育所等)と市町村との間に成立する契約等に基づく金銭債権であり、直接的に児童本人の給付権に基づくものではないと判示。したがって、法17条にいう「権利」には該当せず、差押えは許容されると結論付けた。同法17条に基づく「教育・保育給付を受ける権利」は、本来児童およびその保護者に与えられた行政上の給付権であり、民事上の金銭債権とは別物であると整理。地域型保育給付費は、児童に給付を直接するものではなく、保育事業者に対して公費として支払われる点を重視した。

■参考:最高裁判所|子ども・子育て支援法29条5項から7項までに定める制度の下において、事業者が市町村に有する地域型保育給付費の金員の支払を求める債権は、同法17条の権利に当たらない(令和7年3月19日・第二小法廷)|

https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=93929