厚生労働省は12月13日、株式会社リクルートMUFGビジネスに対し、労働基準法施行規則に基づく資金移動業者の口座への賃金支払に関する指定を行った。国内の指定業者は、PayPay株式会社(本年8月9日指定)に次いで2社目となる。
労働基準法では賃金は通貨払いが原則だが、従業員の同意を得た場合には、厚生労働大臣の指定を受けた資金移動業者の口座への賃金支払(いわゆる賃金のデジタル払い)も認められる。本年9月、ソフトバンクグループ各社では、希望する従業員に対し国内で初めて「PayPay」による給与支払を行った。賃金のデジタル払いの制度導入には、事業場における労使協定の締結、従業員への説明、個別同意等が必要となる。デジタル払いを希望しない従業員は、従来通り銀行口座等で受け取ることが可能だ。万一資金移動業者が破綻した際は、保証機関から弁済が行われる。
本年10月に帝国データバンクが実施した「企業の『賃金のデジタル払い』対応状況アンケート」では、約9割の企業が「導入予定なし」と回答した。理由としては、業務負担増、制度への理解の不十分さ、セキュリティリスク等が挙げられた。キャッシュレス社会実現への取組である賃金デジタル払いだが、制度普及に向けた課題は多そうだ。
■参考:厚生労働省|資金移動業者の口座への賃金支払(賃金のデジタル払い)における資金移動業者の指定|
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_46646.html