請求人は、その主張する相続により取得した事業協同組合の出資持分の価額は、当該組合の定款に定める脱退組合員の払戻金を根拠として組合員の間でも適正価額として流通していたものであるから、当該価額をもって評価すべき旨主張。
それに対して国税不服審判所は、本件定款に当該組合を脱退した際の払戻金を定めていることを前提としても、当該組合の純資産価額を基礎とした持分の価額が出資額を上回っていれば、その差額は当該組合の内部に留保された状態であり、最終的に解散して清算することになれば、純資産価額に基づく財産が分配されることになるから、本件持分は究極的には当該組合の純資産価額を体現したものとした。
よって本件持分の評価に当たっては、財産評価基本通達196《企業組合等の出資の評価》の定めを適用することが合理的であり、本件持分の譲渡には当該組合の承諾が必要であり、市場を通じた不特定多数の当事者間の自由な取引が行われるものではなく、本件持分の価額が組合員の間において請求人が主張する価額と認識されていても、その価額は当事者間の限定的に形成されたものであって、これを本件持分の時価と認めることはできないとし、請求を棄却した。
■参考:国税不服審判所|事業協同組合の出資持分の価額は財産評価基本通達196に定める評価方法(純資産価額)に基づき評価するのが相当であるとした事例(平成29年4月相続開始に係る相続税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分・棄却)|
https://www.kfs.go.jp/service/MP/04/0703000000.html#a135