日本でも「くじ引き民主主義」 同志社大教授が講義―財務総研

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財務省の財務総合政策研究所は、ランチミーティングで行われた吉田徹・同志社大学政策学部教授(政治学)の講義内容をホームページで公開した。テーマは「先進諸国における代議制民主主義の機能不全とその克服の試み」。吉田教授は現在の代議制民主主義の下では民主主義への満足度、中央政府や議会に対する信頼が長期的にみて低下傾向にあると指摘。そうした中「くじ引き民主主義」が欧州だけでなく日本国内でも増加している現状を紹介した。

くじ引き民主主義は、無作為抽出により参加者を選出し行政の意思決定や政策に参加者の考えを反映させる仕組みで、新しい民主主義の形として広がっているという。吉田教授は、日本における政治不信は先進国の中でも極めて高位水準にあり、各種調査によると、議会について国民のほぼ3分の2が信頼していないと回答したという。これに対してくじ引き民主主義は2010年代以降に増加していると指摘。市民会議における議題は都市計画や健康問題、環境問題が多くを占めていると分析している。講義の最後に吉田教授は、制度疲労を起こしている代議制民主主義の補完方法として一部の国際機関で採用されている「加重投票権」(構成員の責任や貢献度で発言の比重に差異を設ける制度)などを挙げた。

■参考:財務省|「先進諸国における代議制民主主義の機能不全とその克服の試み」|

https://www.mof.go.jp/pri/research/seminar/fy2024/lm20240912.pdf