財務省は「国際収支から見た日本経済の課題と処方箋」懇談会での議論を報告書としてまとめ公表した。報告書は、日本の貿易収支が赤字基調となりデジタル等の先端的なサービス分野で赤字が拡大している点を問題視。海外から日本への直接投資が著しく低水準となっている状況を改善するには企業間競争の活性化による新陳代謝促進や労働移動の円滑化による生産性向上、人的資本投資や技術の開発・活用を通じて期待成長率を引き上げる必要があるとした。
懇談会は、国際収支というレンズを通じて日本経済の構造的課題を評価・分析することが極めて有意義だとして、その処方箋を議論した。構造的課題として報告書が第一に挙げたのが、自動車に匹敵する黒字の担い手の不在。貿易収支を品目別に見ると自動車等の輸送用機器、半導体製造装置等の一般機械が黒字を続けている一方、電気機器(家電、スマホ等)は2022年度に初の輸入超過を記録した。
自動車産業の競争力に揺らぎが生じた場合、貿易収支の一層の悪化は避けられず、先端分野を含めた輸出産業の国際競争力維持・強化が求められる。第二に鉱物性燃料の輸入依存を取り上げた。鉱物性燃料は一貫して大幅な輸入超過で、化石燃料依存からの脱却は貿易収支構造強靭化の観点から重要としている。
■参考:財務省|「国際収支から見た日本経済の課題と処方箋」懇談会|
https://www.mof.go.jp/policy/international_policy/councils/bop/20240702.pdf