財政制度等審議会は今般、「歴史的転機における財政」と題した建議を提出した。
【基本認識等】○コロナ渦から平時への移行後も山積する諸課題や危機へ備えるため、財政余力の回復は急務。○グランドデザインに基づき全体を俯瞰するアプローチとスクラップ&ビルドを徹底し、必要性と有効性を見極めた財政支出を行うべき。○全世代型社会保障の考え方に立った社会保障分野の歳出改革を断行し、社会・経済の参加者全員が少子化対策の財源を広く負担する枠組みを検討すること。当面は、人口減少の進行を前提とした持続可能な地域社会・行財政の在り方のデザインも不可欠。
【各論】○成長:リ・スキリングを含めた人への投資による労働の質の向上と労働市場改革が急務。GX・DX分野への投資拡大、スタートアップの振興、エコシステム形成も重要。○こども・高齢化等:各保険制度を将来にわたり機能させるためにも少子化は押しとどめるべき。地域医療構想実現に向けた更なる法制的な対応、新規開業規制も含めた医療機関の偏在問題への対応が必要。介護についてはICT機器の活用や大規模化等に取り組み、現役世代や低所得者の保険料の上昇を抑制する観点から給付範囲の見直しを進め、2割負担の範囲拡大等について速やかに結論を出すべき。
■参考:財務省|歴史的転機における財政(令和5年5月29日・財政制度等審議会)|