刑訴法の抗告理由に当たらない 死刑確定事件―最高裁が棄却

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平成4年2月、福岡県飯塚市内の道路で登校中の小学生2人を普通乗用車に乗せ、両名を略取または誘拐。同市内やその周辺で殺意をもって両名の頸部を手で絞め付け圧迫し窒息させ殺害、同県甘木市内の国道沿いの山中に死体を遺棄した事件が起きた。

第1審で死刑の確定判決を受けた被告人の妻が提起した特別抗告につき最高裁第一小法廷は、刑訴法433条の抗告理由に当たらないとして棄却決定した。妻は再審請求をしたが棄却。即時抗告も棄却された。同事件では犯人が残した血液について警察庁科学警察研究所が行った血液型鑑定とDNA型鑑定(旧証拠:MCT118型鑑定、HLADQα型鑑定)が有罪の決め手の一つとなった。弁護側は筑波大社会医学系法医学教室本田克也教授が行ったミトコンドリアDNA型鑑定およびHLADQβ型鑑定結果を新証拠として提出。証拠としての証明力を争った。

最高裁は▽旧証拠の証明力減殺が新証拠の証明力に関する評価を左右するとはいえず、再評価を要するものではない。原々決定が鑑定の証明力の再評価をしなかったことに誤りはない旨判示した原決定の判断は正当▽新証拠はいずれも確定判決の認定に合理的な疑いを生じさせるものではないという原々決定の判断を是認した原決定の判断は正当―とした。

■参考:最高裁判所|新証拠による旧証拠の証明力減殺が,他の旧証拠の証明力に関する評価を左右する関係にあるとはいえない等とされた事例(令和3年4月21日・第一小法廷・棄却|

https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=90266