先取特権の証明は手続きで十分 原判決破棄、差し戻す―最高裁

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マンションの団地管理組合法人である上告人が、専有部分を担保不動産競売で取得した被上告人に対し、競売前に専有部分の共有者が滞納していた管理費、修繕積立金、専用倉庫維持費等とそれら遅延損害金の支払い義務は区分所有法8条に基づき被上告人に承継されたとして支払いを求める事案で、最高裁第二小法廷は原判決中、支払い請求の一部認容にとどめた部分を破棄、東京高裁に差し戻した。

被上告人は、支払い期限から5年を経過したものに係る債権は時効消滅した旨主張。上告人は区分所有法7条1項の先取特権を有するとして民事執行法51条1項に基づき配当要求をし、配当要求債権について消滅時効中断の効力が生じている旨主張。原審は、配当要求債権は時効消滅したと判断した。

最高裁は、不動産競売手続きにおいて区分所有法7条1項の先取特権を有する債権者が配当要求をしたことで、配当要求債権が差し押さえに準じて消滅時効の中断の効力が生ずるためには、民事執行法181条1項各号の文書により債権者が先取特権を有することが競売手続きにおいて証明されれば足りるとし、法定文書で上告人が先取特権を有することが証明されたか否かについて審理せず支払い請求に関する部分を棄却した原審の判断には法令違反があるとした。

■参考:最高裁判所|区分所有法所定の先取特権を有する債権者の配当要求により配当要求債権に時効中断効が生ずるためには?(令和2年9月18日・第二小法廷)

https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=89715