差し押えにより消滅時効は中断 貸金債権で原判決破棄―最高裁

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上告人が被上告人に貸し付けた336万円の弁済をめぐり、差し押さえにより消滅時効の中断の効力が生ずるか否かが争われている事案で最高裁第一小法廷は、貸金債権の時効消滅を認容した原判決を破棄、第1審判決も取り消すとともに、被上告人の請求自体を棄却した。

同貸金債権には金銭消費貸借契約公正証書が作成され、債務履行を遅滞した時には直ちに強制執行に服する旨の陳述が記載された。上告人は地裁に対し公正証書を債務名義、貸金債権を請求債権として被上告人のゆうちょ銀行に対する貯金債権の差し押さえを申し立て、これを認容する命令が発せられ、同行に送達された。被上告人は、貸金債権は弁済期から10年が経過し時効消滅していると主張、公正証書の執行力の排除を求める請求異議を訴えた。

原審は、貸金債権の弁済期から10年が経過する前に、差し押さえ命令が被上告人に送達されたことなどを認めるに足りる証拠はなく、被上告人が差し押さえを了知し得る状態に置かれたとは認められないとして被上告人の請求を認容。最高裁は、中断の効力が生ずるためには、債務者が差し押さえを了知し得る状態に置かれることを要しないと解するのが相当だとし、差し押さえにより貸金債権の消滅時効は中断しているというべきだと説示した。

■参考:最高裁判所|請求異議事件(令和元年9月19日・第一小法廷・破棄自判)

http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=88922