信義則に反する、抗告を棄却 吸収分割後も債務残る―最高裁


賃借人が契約当事者を実質的に変更した時は、賃貸人は違約金を請求できる賃貸借契約において、賃借人が吸収分割により契約上の地位を承継させた場合に、違約金債務を負わないと賃借人が主張、相手方が違約金条項に基づく違約金債権のうち、1億8,550万円を被保全債権として、賃借人の第三債務者に対する請負代金債権につき仮差し押さえ命令の申し立てをした事件で最高裁第三小法廷は、賃借人の主張は信義則に反して許されず、相手方は吸収分割のあとも、賃借人に対して債務の履行を請求できると判決、賃借人の抗告を棄却した。

賃借人(抗告人)は土木建築請負業等を主たる事業とする会社。相手方は学校用品、教材の販売等を目的とする会社。相手方の資金で賃借人が建築、経営に乗り出した老人ホームの業績が振るわず、賃借人が子会社に事業承継などを内容とする吸収分割を図り、子会社に委ねた結果生じた問題が争点。両社が締結した長期賃貸借契約は、賃借人による賃借権の譲渡等を禁止した上で解除条項と違約金条項を設け、賃借人が契約当事者を実質的に変更した場合、賃借人に対して違約金債権を請求できるとある。最高裁はかかる状況下で吸収分割後、抗告人は債務を負わないとすると、相手方は著しい不利益を受けると説示した。

■参考:最高裁判所|債権仮差押命令取り消し対する保全抗告審の債権仮差押命令(平成29年12月19日・第三小法廷)

http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=87338