Weeklyコラム 承継後、達者に暮らす

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事業承継後、元経営者はどのような暮らし方をしたら良いだろうか。事業承継の難しさの一つに、引退後の問題がある。一般社員であれば定年後の暮らし方であり、昔であれば隠居後の問題である。

第一に、承継後の処遇の問題である。具体的には、会長や相談役等と言う肩書を残すか否か、取締役として役員報酬を受取るか否か、等である。引退時の年齢や健康度、社外の信用や人脈等の差によって区々である。承継後に権限を持ち過ぎて、後継者との人間関係が不安定になる場合もある。

第二に、承継後の生活費確保の問題である。現預金を蓄えておくことが一番確実であるが、生命保険等を利用して役員退職金を準備しておくことも有効である。

第三に、承継後の生きがいや健康管理である。商工業団体の役員、業界団体の世話役、近隣団体の役員等や趣味・研究等に打ち込む人がいる。中には、家業とは別に本当にやりたかった新規事業を起こす人もいる。例えば、50歳の時に家業を息子に譲って隠居した江戸時代の伊能忠敬がいる。天文学・測量術を学んだ後、日本全国を歩いて測量し、初めての日本地図を作った。

事業承継は、後継者の教育や権限委譲に視点があるが、承継後の元経営者の生き方についてしっかりした展望が必要である。