いつの時代も「国家安泰」「家内安全」「商売繁盛」等は人々の切実な願いである。しかし、現在の世界(日本も含めて)は、コロナ禍等によってその全てが不安定になっている。
安泰は、長続きが難しい。では、どんな心掛けで過ごせば、人々の暮らしや会社の経営等は安泰が継続出来るのであろうか。有名な上場企業が、ある日突然破綻する事がある。人は突然で驚くが、実は安泰な状態が長年続いている間に、革新意欲が停滞するのかもしれない。同じような事態は、中小企業においてもよく起きる。
例えば、X社(工業用薬品の製造業)は、研究開発型企業として昭和20年代に創業した。創業後20年間は商品開発や営業開拓に苦労をしたが、高度成長の勢いに乗って中堅企業へ発展した。その後、創業者の息子たちが事業承継し、しばらくは安定していたが、平成になった頃から取引先の再編成と技術革新が進み、業界の競争条件が激変した。結果、X社は業績が低迷してしまった。後継者は父親が完成させた商品さえ堅実に製造販売していれば安泰と思っていた。
安泰な経営期間に長短はあるが、創業精神を忘れるといつか必ず傾き倒れる。新しい柱に立て替えたり柱を補強したりする必要もある。会社の安泰は、創業者が辛抱して確立した創業精神の持続による。