最高裁大法廷は、現役の裁判官でありながら、殺人事件の被害者の遺族を侮辱した文章をSNSに投稿した被申立人に対して、裁判官に対する国民の信頼を損ねる言動だといわざるを得ず、裁判所法49条にいう「品位を辱める行状」に当たるとし、裁判官全員一致の意見で裁判官分限法2条の規定により被申立人を戒告した。
大法廷は平成30年10月、被申立人の別の投稿について裁判官分限法2条の規定により被申立人を戒告しており、最高裁による戒告は2度目。今回対象となったのは、被申立人が元年11月、フェイスブック上の被申立人の実名が付されたアカウントで、遺族が被申立人について裁判官訴追委員会に対する訴追請求をしていることなどに言及する投稿をした際、遺族が被申立人を非難するよう東京高裁事務局と毎日新聞に洗脳されている旨の表現を用いて遺族を侮辱したこと。
被申立人はこの事件についてツイッターに、被告人の異常な性癖や猟奇性に着目した表現で刑事判決を紹介する投稿をし、その後、根拠を示さず遺族が被申立人を非難するよう東京高裁事務局等から洗脳されている旨の投稿をした。被申立人は28年6月と30年3月、東京高裁長官から下級裁事務処理規則21条に基づき口頭ないし書面による厳重注意を受けていた。
■参考:最高裁判所|裁判官がインターネットを利用して投稿をした行為が裁判所法49条にいう「品位を辱める行状」とされた事例(令和2年8月26日・最高裁判所大法廷・決定)
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=89658