Weeklyコラム 労働時間の捉え方

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「一般的に、機業労働時間は早朝の五時から、午後八時までの十五時間で、休憩時間は昼食時の三十分だけであった」(津村節子著『絹扇』新潮文庫)。

明治時代の生活を描いた小説等によると、家内工業で働く労働者の勤務時間は相当長かったようだ。工場内に電灯が点き、日の出から日の入りまで働く農業よりも労働時間が長くなった。現在、法的労働時間は,1日8時間1週40時間以内が基準であるが、労働時間の捉え方には微妙な部分が多い。昭和時代までは、上司から雑務(例えば、資料の整理や苦情処理等)を指示された時、「それは仕事が終わってからすれば良い」等と言われる事もあった(労働時間と見做されなかった)。

一般に、労働時間は会社(上司)の命令統治下にある時間帯とされる。例えば、始業時間前に出社して掃除・朝礼等をする事は命令統治下にあれば労働時間とみなされる。参加が全く任意で、不参加の場合に一切不利な扱いが無ければ、労働時間ではない等と言われる。昼休みの休憩時間等は、訪問者の応接や電話の応対等を義務付ければ労働時間と見做されるであろう。

現在、労働時間(残業時間)違反が厳しく弾劾され、公になれば企業の存続さえ危機となる。日頃から労働時間の捉え方を明確にして、思わぬトラブルを避けたい。