被相続人が遺した相続財産について、相続債権者が民法941条1項の規定に基づき、家庭裁判所に対して相続財産と相続人の固有財産との分離および相続財産管理人選任審判を請求、家裁がこれを認めた。両措置の是非をめぐり取り消し決定の許可を求める抗告審で、最高裁第三小法廷は原審に続き抗告を棄却した。
最高裁は財産分離の制度について、相続財産と相続人の固有財産とが混合することによって相続債権者または受遺者がその債権の回収について不利益を被ることを防止するために、当該財産を分離して、相続債権者等が相続財産について相続人の債権者に先立って弁済を受けられるようにしたものであると説示。このような制度の趣旨に照らせば、家裁は相続人がその固有財産について、債務超過の状態にあり、またはそのような状態に陥る恐れがあることなどから、相続財産と相続人の固有財産とが混合することによって相続債権者等がその債権の全部または一部の弁済を受けることが困難となる恐れがあると認められる場合に、同項の規定に基づき財産分離を命ずることができると解するのが相当だとした。
その上で、原審の判断は以上の趣旨をいうものとして是認できるとし、裁判官全員一致の意見で抗告棄却を決定した。
■参考:最高裁判所|相続財産の分離に関する処分等(平成29年11月28日・最高裁判所第三小法廷)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=87263