社交上手と言っても評価は区々なので、ここでは社交上客観的に効果のあるその一端を紹介してみたい。
X社(不動産業)のA社長は、異業種経営者で構成される商工団体の会員仲間の特技・趣味・経歴等の情報収集に励んでいる。定期会合の際に、その日に注目していた会員の優れた事柄(通常の人が自慢したいような内容)を周辺に座っている会員に紹介する。これまでの経験では、会員同士のコミュニケーションがスムーズになり、A社長の発言がきっかけで当該団体のイベントや会員企業の視察会が実施されたり、会員同士の商取引が成立したりしたこともある。A社長のように、会合で一緒になって近くに座った人の中に、「対応に卒がなく、交際上手だなあ」と心から称賛したくなる人がいる。それは知人や友人をすぐ紹介して、その人の優れた所を褒めたり、携っている仕事の特徴等を話題にしたりして、話のきっかけを作る労を取ることである。
自分で言うと自慢に聞こえて他人からは不審を持たれるようなことでも、信頼する第三者から聞けば素直に関心を持たれるものである。結果、紹介された者同士の交際が始まったり、商取引のきっかけになったりして、両人から感謝される機会となる(日本では、「借りを作る」「恩に着る」等と表す)。