全国健康保険協会(協会けんぽ)は、中小企業の社員やその家族が加入する健康保険だ。近年、保険料収入の元となる給与や賞与の伸び悩みや医療費の上昇等もあり、財政面での脆弱性が指摘されてきていた。しかし、平成27年度決算は2,453億円の黒字で、積み立てた法定準備金は1兆3,100億円に増加、財政的には黒字基調となっている。
ここ数年繰り返されてきた保険料率の引上げは、中小企業にとっては法定福利費の増大に直結する大きな経営上の問題となっていた。準備金の増大や黒字基調の流れを受けて、保険料率を引き下げるべきではないかという意見も根強い。
実際、先日行われた協会けんぽの運営委員会においても、29年度の保険料率を引き上げるべきとした支部はなく、維持すべきが14支部、引き下げるべきが14支部、そのどちらについても理解を示した支部が19支部となった。最終的には今後の医療費の増加や中長期的に安定した保険財政運営を行うことを念頭に、29年度の保険料率は据え置きが妥当という判断となった。協会けんぽの加入事業所は平成25年4月に約164万だったが、28年9月には約193万に増加、被保険者も約200万人増えており、保険料収入の増加につながっているようだ。