人が何らかの窮状に陥ると、それを解決する優先順位の決定が難しくなる。例えば、事業経営において資金繰りが苦しくなった時、限られた現預金をどこへ優先して支払うべきか非常に迷うものである。
一般に、日常的な債務には、仕入代金・手形小切手の決済・借入金返済・税金・給料・社会保険料・一般経費等がある。その債務支払が法的強制力(税金・給料等)やシステム的強制力(手形不渡りによって銀行取引停止になること等)を持つものと、一般経費等のように法的手続きを取らない限り強制力を持たないものがある。もちろん、他の債務不払も、取引先の信用失墜や労働力不足を招くこと等も深刻である。
では、支払は何を優先すべきか。債務の性質・金額・緊急性・資金繰り窮状の程度等によりその選択は難しいが、一般に経営の破綻に結び付くような債務支払を最優先することになろう(手形決済・仕入代金・給料・借入金返済等)。なお、日常の支払で、債務者の多くは次のような債権者(取引先)に優先的に支払う傾向がある。(1)日頃から取立の姿勢が厳しく、決済方法に関係なく、違反者に対して督促や取引停止を通告する(2)文書・電話・訪問等による請求を小まめに行い、内容証明郵便の利用や法的手段(支払督促等)も辞さない。