日本政策金融公庫は「経営Q&A」の『海外展開入門 ~円滑な海外展開の進め方~』のコーナーで、以下のような法務関連のトラブル回避事例を上げ注意を喚起しているので参考にしたい。
(1)初めて国際見本市に出店して早速海外商社から引き合いがあった。企業調査会社のレポートでも信頼性が高く、銀行口座開設にて支払いも安心できるとのことで実際の注文を受ける段になった。直前に英文契約書が送られてきたが、危うく先方の一方的に有利な内容にサインするところを、専門家にチェックしてもらい事なきを得た。(2)部品輸出のケースで契約書を作りあとは生産するだけの段階で、念のため細部チェックを依頼したら、製品が輸入規制法に抵触する内容だったので、抵触しない商品に変更した。(3)海外取引先から販売代理店と名乗りたいとの依頼があり、信頼の積み上げがあったので同意しようとしたが、この場合後になって“独占的販売権を授与された”と主張し、自社子会社の直販を拒んだり、解除の際、販売代理店保護法による補償金の支払いを主張される恐れがある。
レポートはビジネス面のリスクチェックだけでなく、取引や契約の条件内容等における詳細な法的リスクチェックが不可欠、と結んでいる。
■参考:日本政策金融公庫|経営Q&A 「海外展開入門 ~円滑な海外展開の進め方~」 第1回:「海外展開への取り組み基本」|
https://www.jfc.go.jp/n/finance/keiei/pdf/kei_qa_1604a.pdf