国土交通省は、同省の施策全般に関する年次報告として白書を発表した。日本は少子高齢化と人口減少が進行し、2070年には人口9,000万人を下回る見込みである。この構造的変化により、建設・運輸分野では長時間労働や高齢化が顕著で、若年層の確保が困難である。
2030年度には建設技能労働者が5年ごとに7~8%減少、物流輸送能力も最大34%の不足、バス運転手不足は28%に達する見込みである。白書がビジョンとして掲げる「みんなで支え合う活力あふれる社会」は、行政・事業者・住民が協働する共助社会のあり方を示唆している。
国土交通分野での対応策を「処遇改善と担い手拡大」「省人化・省力化技術の導入」「サービス供給方法の見直しと利用者の協力」という三本柱で整理。処遇改善については、公共工事単価の引き上げや価格転嫁の仕組みの整備、外国人・女性・高齢者の活用が示されている。供給方法の見直しとして、貨客混載バス、公共ライドシェア、日本版ライドシェア、PPP/PFIの活用や官民連携の強化を推進。現状の労働力不足と物価高に裏付けされた危機意識を基に、省人化技術や官民一体の施策を通じて、社会インフラと公共サービスを持続的に支える方策を提示するものである。
■参考:国土交通省|「令和7年版国土交通白書」を公表します。~みんなで支え合う活力あふれる社会を目指して~|