米軍兵の強盗傷害の賠償補填 上告人の主張認めず

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この判決は、アメリカ合衆国の軍隊構成員による強盗傷害事件の被害者Aの相続人が、日本政府に対して補償を求めた事案に関するもの。Aは米軍兵2名による強盗傷害事件の被害に遭い、その後がんで死亡。相続人は米兵らを被告として損害賠償請求訴訟を提起し、那覇地裁は損害賠償の支払いを命じる判決を確定。相続人は米国政府から日米地位協定18条6項に基づく慰謝料として約146万円を受け取り、差額として2496万円余のSACO見舞金(日本政府が必要に応じて差額を埋めるために支給する見舞金)の支給を求めた。

沖縄防衛局長は、損害金元金と慰謝料の差額である1591万円余の支給を回答し、SACO見舞金受諾書の提出を求めたが、相続人は提出せず、合意に至っていない。上告人らは、同受諾書を提出しないことを理由に見舞金支払手続をとらなかったことは、国家賠償法1条1項の適用上違法であるなどと主張して、上記相当額の損害賠償等を求めた。

最高裁判所は、上告人らは同見舞金の支給を受ける権利を有せず、上告人らの権利又は利益が侵害されたとする事情も見当たらないとして、国家賠償法1条1項に基づく損害賠償責任を日本政府は負わないと判断した。

■参考:最高裁判所|沖縄防衛局長がSACO見舞金の支払手続をとらなかったことについて、国の損害賠償責任を負わないとされた事例

https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=93621