臨時会招集同日に衆議院解散 憲法53条後段解釈を巡って

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参議院の総議員の4分の1以上である72名の議員は、平成29年6月、憲法53条後段の規定により、内閣に対し、国会の臨時会の召集を決定することを要求した。内閣は、臨時会を同年9月28日に召集する決定をし、同日第194回国会が召集されたが、その冒頭で衆議院が解散され、参議院は同時に閉会となった。

上告人は、被上告人に対し、内閣において、20日以内に臨時会が召集されるよう臨時会召集決定をする義務を負うことの確認を、また上告人が20日以内に臨時会召集を受ける地位を有することの確認を求め、内閣が要求から92日後まで臨時会召集決定をしなかったことが違憲、違法であり、これにより、上告人が自らの国会議員としての権利を行使することができなかったなどとして、国家賠償法1条1項に基づく損害賠償を求めた事案。

原審は、国の機関として有する権限の侵害なので争訟に当たらず却下判決を出した。最高裁判所は、法令の適用によっては解決が可能であるとし、法律上の争訟に当たるとしたが、上告人に現実的に不利益が生じる危険はないとして結論において是認。また、憲法53条後段は臨時会招集要求に係る権利または利益を保証したものではなく、同決定の遅滞を理由に損害賠償請求をすることはできないとした。

■参考:最高裁判所|憲法53条後段の規定により国会の臨時会の召集を決定、内閣の遅滞を理由に国家賠償法の規定に基づく損害賠償請求はできない(令和5年9月12日・第三小法廷)|

https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=92353