Weeklyコラム 発言の重み

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悩みやトラブルは、人間関係や仕事に付き物である。そのトラブルは、うっかりした一言や日常の会話を通じて発生する事が多い。長い人生の途上で、大抵の人は何回か苦い経験があるのではなかろうか。

この問題の内容は複雑であるが、性別・年齢・職業や地位・性格等によって異なる。また、同様の会話でも、親子・夫婦・友人・上司と部下・店員と顧客・公務員と市民、等々によって、発生形態が全く違う。例えば、社内の同僚同士の発言であれば大きな問題にならない言葉が、上司が部下に(又は部下が上司に)発言した場合は重大な問題になる事もある。さらに、大きな組織のトップが発言した事が重大な問題になる事もある。

四書五経の一つ『大学』にも、「一言(いちげん)事を敗(やぶ)り、一人(いちにん)国を定む」(一言の発言が大事をくつがえし、一人の働きが国を安定する)とある(金谷治訳注『大学・中庸』岩波文庫)。高い地位の人による発言の重みは個々に異なるが、共通点は普通の人々よりも謙虚な態度が求められる事である。他の人々より慎重な発言が必要だ。重要な地位を築いてきた人が、最後まで平穏に全うする事を「有終の美を飾る」と称賛する。地位に相応しい発言が出来る人物は、「謙虚さ」と「畏れ」を持ち続ける。