破産者株式会社CFSの破産管財人である上告人と、同社発行社債の社債権者である被上告人が、社債をめぐる金額について争っている上告審で、最高裁第三小法廷は上告人の請求を棄却した原審に続き上告を棄却した。
社債について利息制限法1条が適用されるか否かが争点。上告人はCFS社債について、1条所定の制限を超えて利息として支払った金額を元本に充当すると過払金が発生するとし、不当利得返還請求権に基づき過払金の返還等を請求。CFSは投資に関するシステムの開発等を業とする会社。資金調達のため会社法676条各号に掲げる事項を定め、引き受け業者を募集。被上告人は募集に応じ、平成24年、2,000万円を払い込み、27年までの間、1条所定の制限利率を超える利息の支払いと償還を受けた。CFSは28年、破産手続き開始の決定を受けた。原審は、社債には1条の規定は適用されないと判断。
最高裁も、社債の発行の目的、募集事項の内容、その決定の経緯等に照らし、当該社債の発行が利息制限法の規制の潜脱を企図して行われたもの等の特段の事情がある場合を除き、社債には1条の規定は適用されないとした上で、本件では特段の事情はうかがわれず、上告人の請求は理由がないとし、原審の判断は是認できるとした。
■参考:最高裁判所|募集社債の発行が利息制限法の規制を潜脱することを企図して行われてない場合,社債には同法1条の規定は適用されない(令和3年1月26日・第三小法廷・棄却)
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=89968