知財高裁の審決を取り消す 吟味不足―花粉症剤で最高裁

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被上告人が、ヒトのアレルギー性眼疾患(花粉症)を処置するための点眼剤に係る特許につき、特許権を共有する上告人らを被請求人として特許無効審判を請求したところ、請求は成り立たない旨の審決を受けた。

その取り消しを求める事案で最高裁第三小法廷は原判決を破棄、知的財産高裁に差し戻した。特許に係る発明の進歩性の有無に関し、当該発明が予測できない顕著な効果を有するか否かが争われている。原審は、各発明の効果に係る審決の判断には誤りがあるとして審決を取り消した。

最高裁は原審の判断について、各発明の効果、とりわけその程度が予測できない顕著なものかどうかについて▽米国でした特許出願の日(優先日)当時、各発明の構成が奏するものとして当業者が予測できなかったものか否か▽当該構成から当業者が予測できた範囲の効果を超える顕著なものであるか否か―という観点から十分に検討せずに、本件化合物を各発明に係る用途に適用することを容易に想到できたことを前提に、本件化合物と同等の効果を有する他の各化合物が存在することが優先日当時知られていたということのみから、直ちに各発明の効果が予測できない顕著なものであることを否定して審決を取り消したものとみるほかないとし、違法を指摘した。

■参考:最高裁判所|審決取消請求事件(令和元年8月27日・第三小法廷・破棄差戻|

http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=88888