厚生労働省は、高年齢者が年齢にかかわりなく働き続けることができる生涯現役社会の実現に向け、65歳までの安定した雇用確保を目指している。企業に対して「定年制の廃止」、「定年の引上げ」、「継続雇用制度の導入」のいずれかの措置を講じるよう義務づけると同時に、毎年6月1日現在の高年齢者雇用状況の報告を求めている。同省は平成30年6月1日における「高年齢者雇用確保措置」の実施状況などを集計した資料を公表した。
65歳までの雇用確保措置のある企業は99.8%に達しており、ほぼすべての企業で導入済みとなった。65歳定年は中小企業で16.8%(対前年0.7%増)、大企業で9.4%(同0.9%増)、70歳以上働ける制度のある企業は中小企業の26.5%(同3.1%増)、大企業の20.1%(同4.7%増)となった。定年制を廃止した企業は中小企業で2.9%(同0.1%増)、大企業で0.5%(変動なし)で、一律の定年廃止は進んでおらず、働く意欲や能力がある社員については長く働いてもらいたいという企業側の思惑がうかがえる結果と言えるだろう。
本調査における中小企業は従業員31~300人規模、大企業は301人以上となっている。