報道によると、政府は個人事業主が事業承継する際の許認可の手続きを簡素化する方向で調整に入っている。事業主の高齢化が進み、早期の経営のバトンタッチが課題になる中で、行政手続きの煩雑さが事業承継を困難にしている要因を取り除く狙い。
現行制度では、事業主の死亡後は相続と位置付けられ、地位を引き継ぐ届け出等の提出で済む。ただし、個人事業主が生前に配偶者や子供に承継する場合は、原則として営業許可を再取得する必要がある。例えば相続であれば飲食業、酒小売業、クリーニング業、旅館業、理美容業は原則として申請書1枚と関連書類数枚を国や自治体に提出すれば事業を引き継げる。生前に引き継ぐ場合は、前の経営者が廃業した上で、後継者が新規開業する形となる。改正案は建設業(現行では相続でも引継ぎ不可)も含めて生前・死亡後併せて簡便な引継ぎの実現を目指す。
経産省の調査では2025年に70歳以上になる個人事業者は約150万人いるという。税優遇も含め代替わりの促進を図る。自民党経済産業部では、21日の自民党税制調査会総会までに要望を取りまとめる。ただ、財務省は制度創設に難色を示しているという。昨年度税制改正の中小企業の納税猶予に続き議論の焦点となろう。