非上場株式の譲渡にみなし譲渡課税が適用されるか否かを巡る控訴審で、東京高裁は一審を覆し適用されないと判断した。
被相続人が生前、自社(A社)の株式(本件株式)を関係するB社に譲渡した後、複数の相続人が本件株式を相続で取得した。本件株式の譲渡における時価の算定では、一審は譲渡直前の議決権の数で「同族株主以外の株主等」を判定するとして、譲渡時の時価は類似業種比準方式を用いると判断、みなし譲渡課税が適用され国が勝訴した。
高裁では、配当還元方式を適用できる株式の範囲を定めた評価通達188(2)~(4)の株主区分の判定における議決権割合について、非上場株式の低額譲渡に係る時価の求め方の解釈を示した所得税基本通達59-6には「譲渡直前の議決権の数で判定する」との明文の規定がないと指摘。一方、188(2)~(4)には「株式取得後」「取得した株式」との文言があり、株式の譲渡後の譲受人の議決権割合を述べているのは明らかとした。A社は譲渡直前は「同族株主のいない会社」に該当し、B社の本件株式取得後の議決権割合は7.88%、B社には同族関係者がおらず、議決権割合はA社の議決権総数の15%未満にとどまるため本件株式は188(3)にあたり、配当還元方式で評価すべきとした。