日本国籍を有する男性を父とし、中国で出生し中国国籍を有するその子ら4人と、同じ状況を有するその子らの子6人が日本に移住後、子が移住先の市町村長に対して出生の届出と国籍留保の届出等したところ、市町村長が不受理とする処分をした。この処分の妥当性が争点となった事案で最高裁第二小法廷は、原決定を破棄し、原々審判に対する抗告を棄却した。
原審は、戸籍法104条1項所定の日本国籍を留保する旨の届出について同条3項にいう「責めに帰することができない事由」があるとして、本件申し立てを却下した原々審判を取り消し、抗告人たる市町村長に受理を命じた。
最高際は原審のこの判断について法令違反があるとした。最高裁は子ら4人について▽戸籍に記載されておらず、本籍および戸籍上の氏名がないという事情だけでは、客観的にみて国籍留保の届出の障害とならない。1項の届出期間内に出生の届出や国籍留保の届出ができなかったとはいえない▽その他に受理すべき事情はうかがわれない。国籍留保の届出は、1項および3項の定める届出期間を過ぎてされた▽その余の各届出は、その子らが国籍法12条により日本国籍を失っているため、戸籍法の適用がない者に係るものとなる。各届出は不受理とするのが相当―と説示した。
■参考:最高裁判所|平成29年5月17日・最高裁判所第二小法廷|
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=86753