原判決を破棄、控訴棄却 貸室明け渡し請求事件―最高裁

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貸室の明け渡しと賃料相当損害金の支払いを求めた事案で最高裁第一小法廷は、原判決を破棄し、上告人の控訴を棄却した。上告人と被上告人の間でいったん訴訟上の和解が成立したものの、上告人が和解の無効を主張。第1審は和解成立で終了した旨の終局判決をした。これを受け上告人のみが控訴、被上告人は控訴も附帯控訴もしなかった。

原審は第1審判決を取り消すとともに、和解の無効を確認。上告人に対して被上告人から40万円の支払いを受けるのと引き換えに貸室を明け渡し、賃料相当損害金の支払いも命じ、被上告人のその余の請求をいずれも棄却した。

最高裁は▽第1審判決に対し被告のみが控訴し、原告が控訴も附帯控訴もしなかった場合に、控訴審が第1審判決を取り消した上、原告の請求の一部を認容する本案判決をすることは、不利益変更禁止の原則に違反して許されない▽その場合、控訴審が訴訟上の和解が無効であり、かつ第1審に差し戻すことなく自判をする時には、控訴の全部を棄却するほかない―と説示。原審は、仮に和解が無効であり、かつ被上告人の請求の一部に理由があると認めたとしても、第1審に差し戻すことなく自判する限りは、上告人の控訴の全部を棄却するほかなかったというべきだ、とした。

■参考:最高裁判所|建物明渡請求事件(平成27年11月30日・最高裁判所第一小法廷)

http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=85507