人が仕事をしていく上で一番大事なことは、仕事人としての一般常識を守って、為すべきことをあたり前に実行することではなかろうか。古人は、「眼横鼻直」(がんのうびちょくと読む。眼は横に鼻は縦に付いている。物事はあるがままにあたり前に行うこと。道元禅師の言葉)、「柳は緑、花は紅」等の言葉で教えている。
ところで、経営者(又は管理者)がよく口にする言葉に、「あたり前のことがあたり前に出来ない社員が多くて困る」というものがある。具体的にどんなことか尋ねると、「営業から帰って、その成果をすぐに報告しない」「同僚がどんなに忙しく働いていても、手伝う気が全くない」「期末の一番忙しい時に有給休暇を取る」等と答える。
これに対して、経営指導者としては思い切って、「社員があたり前の行動が出来ないのは会社(はっきり言えば経営者や管理者)の責任」と言う。つまり、あたり前の仕事が遂行出来る仕事のしくみと手順やノウハウを日頃から教育したり、上司が部下に模範を示したりすることが必要であると話す。お辞儀等の礼儀作法や接客言葉等も、成人ならば教育をしなくてもあたり前に出来ると思い込むと当てが外れる。簡単に出来てあたり前と思う仕事であっても、教育やしくみ作りをすることである。