最低賃金引上げと企業行動調査 生産・売上「伸びた」約4割

厚生労働省が実施した「最低賃金の引上げと企業行動に関する調査」(中小企業8,666社対象)の結果、最低賃金引上げに対処するため何らかの取り組みを実施した企業は30.7%であった。具体的対応としては、正社員の賃上げが53.1%と最も多く、次いで製品・サービスの価格転嫁が45.3%、人件費以外のコスト削減が43.7%、業務効率化が36.1%、非正社員の賃上げが34.9%、給与体系の見直しが28.1%、労働時間の短縮が24.4%と続いた。

こうした対応企業のうち、1時間あたりの生産・売上が「伸びた」と回答した割合は38.8%で、「低下した」の6.0%を大きく上回り、特に2021年と比較して「伸びた」との回答は20.9%から33.7%へと上昇した。政策的支援へのニーズとしては、所得拡大促進税制などの税制優遇が46.2%と最も高く、次いで設備投資・生産性向上の助成金が40.0%、価格転嫁支援が23.9%であった。

「支援は不要」とした企業は15.1%にとどまった。さらに、最低賃金の引上げが既存社員のモチベーション向上や離職率の低下といった付帯効果を得た企業も多く、全体としては賃上げが企業に経営改革と人材定着の好機をもたらしている実態が浮き彫りとなった。

■参考:厚生労働省|J I LPT「最低賃金の引上げと企業行動に関する調査」( 2024年)の概要(速報)|

https://www.mhlw.go.jp/content/11201250/001515640.pdf