令和6年度に国土交通省が実施した住宅宿泊管理業者に対する全国一斉立入検査では、対象となった39事業者のうち実に32事業者(82.0%)に法令違反が認められ、是正指導が行われた。これは前年より7.4ポイント減少したものの、依然として高水準であり、住宅宿泊業の適正化には課題が残る。
違反が最も多かったのは、住宅宿泊事業法第38条に定められた帳簿備付等義務で、24件に上った。宿泊実績や収支記録の不備、または帳簿そのものが備え付けられていない事例が散見された。また、第40条に基づく定期報告義務違反も22件発生しており、報告の未実施や遅延が指摘された。
さらに、第37条に規定された証明書の携帯義務違反が21件あり、現場での身分証提示義務を果たしていない例が確認された。その他、営業所等に掲示すべき標識が未掲示(第39条違反:16件)、契約書面の交付義務(第33条・第34条)違反も15件に達するなど、基本的なコンプライアンス欠如が浮き彫りとなった。加えて、不当勧誘(第32条)や管理業務の不履行(第36条)も少数ながら存在した。
国土交通省は、違反事業者に対しては是正指導を行い、今後も重大な違反には厳正な対処を行う姿勢を明確にしている。
■参考:国土交通省|住宅宿泊管理業者への全国一斉立入検査結果(令和6年度)|