国税庁が発表した資料によると、令和6年度における審査請求の新規受理件数は1,088件であり、前年度から189件減少した。処理件数は1,194件で、うち納税者の主張を認容した件数は78件(全部認容14件、一部認容64件)で、認容率は6.5%となっている。
なお、棄却・却下・取下げなどの件数が全体の約9割を占めていることから、依然として納税者側が全面的に勝つケースは少数にとどまる。請求から裁決までの平均処理期間は9.1か月で、前年度(9.8か月)よりもやや短縮された。審査請求においては近年、処分理由の詳細な説明や口頭意見陳述の機会提供など、納税者の理解と納得を促進する工夫が進められている。
また令和6年度における第一審訴訟の発生件数は196件で、前年度比3.7%増加した。内訳では、所得税、法人税、相続税、消費税を中心とした課税処分に関する訴訟が多数を占める。終結件数は168件で、そのうち国側が敗訴したのは8件(全部敗訴5件・一部敗訴3件)であり、敗訴率は4.8%であった。この敗訴率は前年より2.8ポイント減と改善傾向にある。全体として、訴訟件数は微増しているものの、国側の勝訴率が高く、行政処分の正当性が裁判所でもほぼ支持されている様子となっている。
■参考:国税庁|令和6年度における審査請求・訴訟の概要|
https://www.nta.go.jp/information/release/pdf/2024/shinsa.pdf
https://www.nta.go.jp/information/release/pdf/2024/sosho.pdf