先月20日に決定した税制改正大綱について、今回から連続して概要を掲載する。
国民民主党を含め3党で協議された「103万円の壁」引き上げは、最大の焦点となった。働き控えへの対応(就業調整の防止)、減税による消費喚起、インフレ対応を目的としたもの。現在の控除額となった1995年当時から比較した基礎的支出項目の物価上昇率を踏まえ、123万円への引き上げを明記。所得税の基礎控除は58万円に、給与所得控除の最低保障額は65万円となる。住民税においても給与所得控除の最低保障額を65万円とする一方、基礎控除については、地方から大幅な減収への懸念が示されたため据え置きとなった。
また、大学生などを扶養する世帯の税負担を軽減する「特定扶養控除」の年収要件も150万円に引き上げる。123万円を超えると「特定親族特別控除」となり、150万円を超えると控除額が段階的に減る仕組みを導入。188万円を超えるとゼロとなる。さらに配偶者特別控除でも、配偶者の年収要件を160万円とする。
一連の見直しによって、国と地方合わせて年間6580億円の減収となる見通し。 雇用者においては、柔軟な勤務体制の導入や給与体系の再設計により、従業員の意欲向上や人材確保につながる可能性がある。
■参考:財務省|令和7年度税制改正の大綱|
https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/