Weeklyコラム 弱点を知る

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「弱みは考えないことにしている」これは、ある商店街の勉強会で参加者が自店のSWOT分析(各店の強み・弱み・機会・脅威を確認)をした時の発言である。理由に「弱みを意識するとやる気が無くなる」「後継ぎに弱みを知られたくない。後を継がない」等が出て、参加者が皆で頷き合っている。果たして、自店の弱みや欠点に目を塞いでいて今後困るのではなかろうか。

孫子兵法に、「彼(か)れを知り己(おの)れを知らば、百戦して殆(あや)うからず」(相手の実情を知って自己の実情を知っていれば、百たび戦っても危険の状態にはならない:浅野裕一著『孫子』講談社学術文庫)とある。因みに、相手を知らず自己を知っていれば勝ったり負けたりし、相手も自己も知らなければ戦うたびに必ず危険に陥る。

人は自己の弱点を知ることは苦痛であろう。しかし、弱みや欠点を認識することで、活用出来る強みや長所が明確になることがある。例えば、接客(営業)技法に「マイナス/プラス法」がある。「こんなマイナス面があるものの、反面こんなすばらしいプラス面がある」と結論付けることで、より強くプラス面を強調出来るのである。そもそも、経営計画や戦略策定は、自己の実情(特に弱点)と競合等を踏まえて、今後の方針を決めることである。