文化功労者年金法の年金受給権 強制執行の対象となる

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本件は、抗告人が、文化功労者年金法所定の文化功労者である相手方を債務者として、相手方の第三債務者国に対する同法に基づく年金の支給を受ける権利について仮差押命令の申立て等をした事案。

原審は、文化功労者自身が現実に本件年金を受領しなければ本件年金の制度の目的は達せられないとして、本件年金の支給を受ける権利は、その性質上、強制執行の対象にならないと解するのが相当であり、上記権利に対しては強制執行できないとし、上記権利の仮差押えを求める本件申立ては理由がないとして、これを却下した。

最高裁判所は、文化功労者年金法には年金の支給を受ける権利に対して強制執行を禁止する規定がないこと、国が文化の向上発達に関し特に功績顕著な者を文化功労者として決定することにより、その者に本件年金の支給を受ける権利が認められることで、上記の表彰の目的は達せられるものと指摘。

その者が現実に本件年金を受領しなければ上記目的が達せられないとはいえないとし、年金の支給を受ける権利は強制執行の対象になると判断。これにより、原審の判断には法令の違反があるとされ、再審理のために本件は大阪高等裁判所に差し戻された。

■参考:最高裁判所| 仮差押命令認可決定に対する保全抗告審の取消決定に対する許可抗告事件 令和6年10月23日 最高裁判所第三小法廷

https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=93453