Weeklyコラム 街の恩恵


「お客様が有っての商売」という言葉がある。小売店や飲食店等は、一般に商圏の住民が来店して初めて商売になる。お客様だけではない。商売に役立つものは、道路・鉄道・自動車等の交通手段、病院・公共施設・住宅等の建築物、住みやすい自然環境やインフラ等……、挙げたら無数にある。

筆者が立地調査を長年やって感じる事は、上記のような「街の恩恵」によって、ようやく商売は成立することである。単に、経営者や従業員の努力だけで成績が決まるわけではない。例えば、商売の成否が観光者の人数や購買行動によって大きく左右される地域がある。観光資源は、その土地の自然や先祖が長年積み上げてきた歴史的文化財等が中心である。各店が行う集客活動とは別次元で、個店の努力(時間、経費)では不可能な客数や収益が押し寄せる事もある。道路・鉄道の新設や整備も同様である。例えば、駅が近くに新設されて、これまで駅前通りのメリットが無かった商店街を大勢の人が通るようになることもある。首都圏では、乗換客の通行によって駅と駅の間が繁盛している例も多い。

街の恩恵は、天の恵み、山の恵み等と同様、個人の力で作る事は困難である。しかし、開業前に立地を調べるなどして個人が街を選択出来る可能性は残されている。