若者層に広がる退職代行 企業側も対策強化の動き

東京商工リサーチが2025年6月2~9日に実施した企業アンケートによれば、2024年1月以降に従業員が退職代行サービスを利用したことがある企業は全体の7.2%であり、大企業に限定すると15.7%にのぼる。

大企業では福利厚生や手続きが整っている一方で、心理的障壁が低いため退職代行の利用が一定数存在していると考えられる。利用者の年齢層は、20代が60.8%、30代が26.9%であり、20代の利用が突出しているが、50代(6.4%)や60代以上(2.8%)の事例も報告されている。企業側では業務引き継ぎ不足や機器回収の遅延、残業発生、士気低下などの影響が報告されている。

マイナビ調査では、退職代行の利用理由の約4割が「引き留めを受けたから」であり、企業との関係性が退職行動に影響していることがうかがえる。一方、企業側も転職希望者へのリファレンスチェック強化や採用時の職歴確認など、水際対策を進めつつある。

今後も「辞めづらさ」への対応として一定の需要は見込まれるが、企業による採用上の警戒感の高まりやキャリア上の不利懸念が、利用者の慎重化を促す可能性がある。今後の退職代行業界は、単なる代行業からキャリア支援や職場環境改善と連携した進化が求められる局面にある。

■参考:東京商工リサーチ|2025年 企業の「退職代行」に関するアンケート調査|

https://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1201481_1527.html