事業所得の金額の同業者推計 過大と認定、一部取消-不服審

LINEで送る
[`yahoo` not found]

自動車整備事業を営む個人事業者である請求人は事業開始以降、一連の確定申告書を提出していなかった。原処分庁が推計により事業所得の金額を計算して各決定処分及び無申告加算税の各賦課決定処分を行ったことに対し、請求人はその全部の取消しを求めた。本年3月4日裁決。

原処分庁は、請求人の売上入金口座の取引履歴から総収入金額を把握。請求人と業種、業態に類似性があり、事業規模が同程度であると判断した同業者の総収入金額に占める所得金額の割合の平均値を用いて推計課税の方法により所得金額を算出した上で、請求人に期限後申告を勧奨した。

請求人は、上記勧奨はあまりに性急かつ説明が不十分であるとして応じなかった。請求人は、算定された総収入金額について▽自動車税等の預かり金や私的な入金も含まれている▽販売は全て委託で行っており委託手数料のみが売り上げとなる他、類似同業者の抽出は適当ではない旨主張。

審判所は、▽請求人の販売形態が委託販売であった事実を認めるに足る証拠はない▽採用された同業者の選定基準は合理性を有すると認められる、としながらも、算定された請求人の総収入金額は過大であったことは認め、一部の税額で原処分額を下回る審判所認定額を示し、処分の一部を取り消した。

■参考:国税不服審判所|請求人の事業所得の金額を推計するに当たり、原処分庁が採用した類似同業者の抽出基準及び抽出方法に一応の合理性があるとした事例(令和3年3月4日裁決)|

https://www.kfs.go.jp/service/MP/02/1401000000.html#a122