名義借り取引の利益分配は無効 宅建法の趣旨に反する―最高裁

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専任の宅地建物取引士として会社勤務しながら不動産取引に係る事業を計画した被上告人と、取引士の資格を有するyが代表取締役を務める法人(上告人)が、土地建物の売買契約に伴う利益分配をめぐり争っている事案で最高裁第三小法廷は、

無免許者が宅地建物取引業を営むために宅建業者から名義を借り、当該名義を借りてされた取引による利益を両者で分配する旨の合意は、宅地建物取引業法12条1項および13条1項の趣旨に反し、公序良俗にも反し無効だと判断。原判決中、上告人敗訴部分を破棄、同項の部分および上告人の民訴法260条2項の裁判を求める申し立てにつき東京高裁に差し戻した。

被上告人は当初、Aと共に新会社を設立、不動産取引を継続的に行う計画だった。同計画にyが参加。yは上告人を設立、上告人はyを専任の宅地建物取引士として宅地建物取引業の免許を受けた。この中で取引案件が浮上。yに不信感を抱く被上告人は、本件取引に限り上告人の名義使用を決断。両者間で合意も成立した。本訴は、被上告人が上告人に対し、被上告人に支払われるべき金員の残額の支払いを求めるなどするもの。反訴は、上告人が被上告人に対する支払いは法律上の原因のないものと主張、不当利得返還請求権に基づき返還等を求めるもの。

■参考:最高裁判所|無免許者が宅地建物取引業を営むために宅地建物取引業者からその名義を借り,当該名義を借りてされた取引による利益を両者で分配する旨の合意は,公序良俗に反し,無効である(令和3年6月29日・第三小法廷・破棄差戻)|

https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=90443