滞納分への法定充当が妥当 配当時に宙に浮いた税―最高裁

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3年度分の市道民税並びに延滞金等を順次納付または滞納処分によって徴収された上告人が、確定申告についての増額更正処分取り消し訴訟で申告額を超える部分を取り消す旨の判決を得、確定した。

これを受け稚内市長が市道民税の税額を減らす賦課決定をし、過納金が生じたとして還付と還付加算金の支払いをした。上告人が、過納金の額の計算に誤りがあるとして、被上告人(市長)に対し不足分の還付と還付加算金の支払いを求めるとともに、国家賠償法1条1項に基づく損害賠償を求める事案で最高裁第三小法廷は、上告人の請求をいずれも棄却した原判決を破棄、札幌高裁に差し戻した。

原審は、徴収当時他に滞納税が存在した時でも、当該他の滞納税に充当されたものとして延滞金等を計算する法的根拠はなく、市長の計算に誤りはないとした。

最高裁は、複数年度分の個人住民税を差し押さえに係る地方税とする滞納処分において、当該差し押さえに係る地方税に配当された金銭であって、その後に減額賦課決定がされた結果、配当時に存在しなかったこととなる年度分の個人住民税に充当されていたものは、その配当時において当該差し押さえに係る地方税のうち他の年度分の個人住民税が存在する場合には、当該個人住民税に法定充当されると説示した。

■参考:最高裁判所|住民税を差押えに係る地方税とする滞納処分における配当金であって,後の減額賦課決定により配当時に存在しなかったこととなる年度分の住民税に充当されていたものは,配当時に存在する他の年度分の住民税に法定充当がされる(令和3年6月22日・第三小法廷・破棄差戻)

https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=90407