Weeklyコラム 商売熱心な人

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いつの時代も、商売に熱心な人もいれば、あまり熱心ではない人もいる。ところで、一体商売熱心とは、どんな事であろうか。決められた日に怠けないで仕事場に行く事、仕事場で調理や接客等を一生懸命する事・・これだけでは何か足りない気がする。

『日本永代蔵』に、こんな話がある(井原西鶴著・堀切実訳注、角川ソフィア文庫等)。樋口屋の下男は夜遅く少量の酢1文を買いに来たお客に寝たふりをして返事もしないので、客が帰ってしまった。翌朝、主人は下男に門口三尺を掘れと命じた。銭が出て来たかと問うたが、下男は「小石と貝殻より他は見えません」と答えた。そこで主人は銭1文がいかに貴重かを教えたという。

X社(食料品卸)は、給与体系の中に実力主義を取入れて成長してきた。しかし、始めは大きな失敗を経験した。実力が売上で評価される為、営業マンは規模や立地の有利性を基準に売込むようになった。創業間もない小規模な取引先を敬遠した。結果、当初は一定の売上が確保出来たが、やがて伸び率が停滞してしまった。商売熱心な人とは、一時的に効率良く大きな収益を獲得するだけではなく、商品サービスを求める客を確実に掴む事である。自己の都合のみで選んではいけない。むしろ、当方が相手から選ばれる事が大事だ。