電気通信事業者に提示義務なし 黙秘義務あるもの―最高裁

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動画配信サービス等の提供に係るウェブサイトを管理・運営している企業(抗告人)のサイト上の問い合わせ用フォームを通じて、映像等の開発・販売会社(相手方)に対する脅迫的表現を含む匿名の電子メールを相手方が受信した。

メールは、抗告人の電気通信設備を用いて送信された。相手方が損害賠償請求訴訟を提起する予定だとし、送信者の氏名、住所等(電気通信の送信者の特定に資する情報)が記録され、または記載された電磁的記録媒体または文書(記録媒体等)について、訴えの提起前の証拠保全として記録媒体等につき検証の申し出をするとともに、抗告人に対する検証物提示命令の申し立てをした。

最高裁第一小法廷は原決定を破棄、原々決定を取り消すとともに、相手方の申し立てを却下した。原審は、電気通信事業に従事する者には民訴法197条1項2号が類推適用されるとした上で申し立てを認容。

最高裁は、同事業従事者等は類推適用により職務上知り得た事実で黙秘すべきものについて証言を拒めるとし、事業者は管理する設備を用いて送信された通信の送信者情報で黙秘の義務が免除されていないものが記載され、または記録された文書や準文書について、当該通信の内容にかかわらず検証の目的として提示する義務を負わないと説示した。

■参考:最高裁判所|電気通信事業に従事する者及びその職を退いた者は,民訴法197条1項2号の類推適用により,職務上知り得た事実で黙秘すべきものについて証言を拒むことができるとした事件(令和3年3月18日・第一小法廷)|

https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=90146