直ちに遺言無効とはいえない 遺言書記載日の相違―最高裁

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亡Aが作成した平成27年4月13日付自筆証書による遺言について、被上告人らが遺言書に遺言が成立した日と相違する日の日付が記載されているなどと主張、上告人らに対し遺言が無効であることの確認等を求める事案で最高裁第一小法廷は、被上告人らの本訴請求を認容すべきだとした原判決を破棄、名古屋高裁に差し戻した。

被上告人らはAの妻とその子ら、上告人らはAの内縁の妻Y2とその子ら。遺言の内容は、財産をY2らに遺贈または相続させるなどというもの。原審は本件遺言について、遺言書に真実遺言が成立した日と相違する日の日付が記載されているから無効だとした。

最高裁は、自筆証書によって遺言をするには、本来、真実遺言が成立した日の日付を記載しなければならないとしながらも、民法968条1項が規定した自筆証書遺言の方式について、必要以上に厳格に解する時はかえって遺言者の真意の実現を阻害するおそれがあると説示。Aが入院中に遺言の全文、同日の日付および氏名を自書し、退院して9日後の同年5月10日に押印したなどの事実関係の下では、成立した日と相違する日付が記載されているからといって、直ちに本件遺言が無効となるものではないとした。反訴請求についても原判決は破棄差し戻しを免れないとした。

■参考:最高裁判所|自筆遺言証書に真実遺言が成立した日と相違する日の日付が
記載されているからといって同証書による遺言が無効となるものではないとされた事例(令和3年1月18日 第一小法廷・破棄差戻)|

https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=89956