示談をもって上告人に対抗不能 仮差し押え債務者―原判決棄却

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強盗致傷事件の被害に遭った上告人が犯人らに対して損害賠償を請求。これに絡み、事件後に犯人の父を自動車運転中に死亡させ、自賠責保険金を取得した被上告人を第三債務者として損害賠償を請求。

法の枠内で激しい法廷闘争が展開されている上告審で、最高裁第三小法廷は原判決中、上告人敗訴部分を破棄、東京高裁に差し戻した。上告人が被上告人に対して、亡父の相続人らと示談で合意した損害賠償金の額4,063万円余を超える額の請求をできるか否かが争点。原審は本件示談について、仮差押命令により禁止されるとする上告人を害する処分とは認められず示談金額を超える請求を棄却。

最高裁は▽仮差し押さえ債務者は当該債権の処分を禁止される。債務者がその後に第三債務者との間で債権金額を確認する旨の示談をしても、両債務者は債権者を害する限度において示談をもって債権者に対抗できない▽示談は、相続人らが仮差し押さえを受けた後に行われ、各損害賠償請求権の合計額が示談金額を超えないことを確認する趣旨を含む▽示談金額が実際の各損害賠償請求権の合計額を下回る場合には上告人を害する。被上告人は害する限度において示談をもって上告人に対抗できない―と説示、原審の判断には違法があるとした。

■参考:最高裁判所| 仮差押債務者が債権の仮差押えを受けた後に第三債務者との間で
示談をした場合に示談金額を超える額の請求があできるとされた事例(第三小法廷・破棄差戻・令和3年1月12日)

https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=89952