Weeklyコラム 時には一服する

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X社(居酒屋5店)は、駅前立地型の繁盛店を運営している。年中無休で営業時間も長い。ここ数年間の営業利益は好調であるが、従業員の定着率が悪く、店舗管理に大きな負担がある為に中堅社員が育たない。

店長・副店長が管理者であるが、帰宅後や休日にも緊急連絡(クレーム・客同士の争い等)がよく入る為、心身ともに疲れるという。このような状況下、この度のコロナ禍が発生し、X社の売上は大きく下がってしまった。同業者も同様であるが、X社には有能な管理者が少ない為、経営者(A社長)の悩みがより深刻になった。来店者数が激減した当初は全く打開策か無かった。

しかし、A社長はお客がほとんど来なかった創業時の苦労を思い出し、2店のみ営業して他はしばらく休業する事にした。そこで周辺に事業所が多いので、昼間は弁当や総菜の持ち帰り販売や配達を開始した。周辺の食堂やレストランは休業が多かったので、期待する以上の売上があった。

今、A社長はコロナ後の経営ビジョンを再構築している。従業員の生活を重視し(店長の帰宅後や休日は本部が対応)、定休日を設けて営業時間を短縮する予定である。また、今は時間があるのでサービス内容の差別化を検討している。深刻な事態であるが、商売も時には一服が必要と考えている。