重要事実の伝達なし、国が敗訴 判決確定で課徴金納付を取消し

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インサイダー取引に違反(金商法166条3項)したとして金融庁が投資会社(スタッツインベストメントマネジメント)に対して行った課徴金納付命令(54万円)を取り消すか否かが争われた裁判で、東京高等裁判所(阿部潤裁判長)は6月25日、国の控訴を棄却する判決を下した。原審の東京地裁に引き続き、国側が敗訴した。

本件は、国際石油開発帝石(東証1部)の公募増資に関してインサイダー取引に違反したとして、金融庁から課徴金納付命令を受けた投資会社が、違反事実の認定に誤りがあるなどと主張して、本件処分の取消しを求めた事件である。原審の東京地裁では、証券会社の担当者の証言は本件重要事実の伝達についての記憶がなく、チャットのやり取りから推測した内容に終始しており、原告に対する重要事実の伝達を直接的に裏付けるものではないと判断し、原告である投資会社の主張を認め、課徴金納付命令を取り消した。このため、これを不服とした国が控訴したものである。

東京高裁でも、東京地裁と同様、信用性に疑問がある証券会社の担当者の供述を根拠として重要事実の伝達を受けたものと認めることはできないと判断した。今回の判決を受け、金融庁は7月10日付けで課徴金納付命令の決定を取り消している。

■参考:日本経済新聞社|国敗訴、課徴金取り消し 二審もインサイダー認めず|

https://r.nikkei.com/article/DGXMZO60822170W0A620C2CE0000?s=3